わかってあげよう。

父のご機嫌が悪くなったから、元に戻した・・と話す母。

　今から5年前の5月、父と母は、結婚50周年を迎えました。お互いに若くして結婚したので、一般的な年齢より、おそらく少し早めの金婚式だったと思います。

　父と母のその日をお祝いするため、私たち家族は一枚の色紙を作りました。
真ん中には、実家の庭で仲良く並んで微笑む両親の写真を貼り、その周りに、私たち家族みんなでお祝いのメッセージを書いたり、プリクラを貼ったりしたのです。

　決して大層な思いで作ったのではなく、家族で気楽に書いた色紙。
その色紙が、父にとってそんなに大切な物になっているなんて、思ってもいませんでした。

　母がその色紙を飾るのをやめた日、ものすごく悪くなった父の機嫌は、再び母が飾ったときから、元に戻ったそうです。

　今年5月、結婚55周年を迎える父と母に、私は再びカメラを向けました。
私が実家を訪れたとき、ちょうど山から帰ったばかりで、少々お疲れモードだったにかかわらず、いそいそと身づくろいを整え、満面の笑みで母と並んでカメラに向かう父。

　超マイペースで頑固な父だけど、わかってあげよう・・・。

カメラのファインダーを覗きながら、私の心は素直にこうつぶやいていました。　（2003/06/01.Sun)