I miss you   
              
          

親子ほども年が違ったけれど、
そもそもは、息子の友達だったのだけれど
彼女が帰ってしまった今、私は寂しくて仕方がない。

サンフランシスコから日本に来て2年。
ALTとして京都市内の中学校や小学校で英語を教える仕事を終えた彼女が帰国したのは先週のこと。

初めてのときも、私はいつもと同じように、心も外見も普段着のまま彼女を我が家に招き入れた。

苺やマンゴーの冷凍を使ったスムージーを作ってくれたときは、アメリカの女の子・・という感じがしたし、映画や料理等中国の文化を愛し、美味しい中華を作ってくれた彼女には、同じアジアの血が流れているという親しみを覚えた。
一緒にワイワイと作ったワンタンの美味しかったこと・・!
いつの間にか冷蔵庫には、美味しい中華の味を作るためのビン類がずいぶん増えていた。

チョコレートのロールケーキが大好きで、ご飯をたくさん食べたあともぱくぱくと食べてしまう、その様子はほんとに屈託なく、可愛らしかった。

ペラペラとなんてできなくて、ゆっくり話す私の英語を一生懸命聞いてくれていた時の表情・・・。
あの時、私達の間に、言葉以上のものが通い合ったのかもしれない。

「日本のキャラクターの中で、何が好き?」という私の問いかけに「タレパンダ」と応えた彼女。
くた〜っとしたパンダの何が、彼女の心を捉えたのだろう。

帰国が近づいてきた彼女のために、「たれぱんだ」の絵本を購入した。

息子に絵本をことづけたその日、帰宅した彼は、彼女からだという包みを携えていた。
開けてみると、可愛らしいプレゼントと共に、便せん3枚にぎっしり書かれた手紙。
あまりにも「普通に」接していただけの私は、彼女からこんなものを受け取るなんて夢にも思っていなかった。

筆記体の文字で綴られた手紙を読みながら、私は、涙があふれてきた。

「そうか・・私は、こんな言葉が欲しかったんだ」・・・そう気がついた。

可愛くて明るい彼女の瞳の中に、どこか寂しさを感じていた私は、早くにお父さんを病気で失っているせいかな・・そんな風にも思ったりしていた。

我が家にやってきて一緒に過ごした時間が、彼女にとってそんなに嬉しいものだったなんて。
手が小さいからと尻込みしていたピアノを、もう一度がんばってみようと思ってくれたなんて。
私が話した(退屈かな・・と思っていた)エピソードが彼女の心を動かしていたなんて。

辛かった日々のことも綴られたその手紙の中には、未だに自分自身に自信をもてないでいる私に力を与えてくれる言葉が詰まっていた。

お礼を言わなければならないのは、私。
勇気をもらったのも私の方。

「ありがとう、ヘレンちゃん。」


   
                        
2006/08/15(Tue)

                       



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